世界各地で同時多発的に発生する異常気象の恐怖を描いた、2017年公開のディザスター映画『ジオストーム』。気候をコントロールする人工衛星が暴走し、地球規模の大災害が人類を襲います。『インデペンデンス・デイ』の製作・脚本を手がけたディーン・デブリンが初監督を務め、ジェラルド・バトラー主演で贈る超大作です。本記事では、映画『ジオストーム』のあらすじから結末まで、ネタバレを含めて詳しく解説していきます。
30秒で分かる映画『ジオストーム』のネタバレ!
2019年、異常気象対策として開発された気象制御衛星システム「ダッチボーイ」が突如暴走を始めます。世界各地で凍結、熱波、竜巻といった異常気象が発生し、地球規模の同時多発災害ジオストームの危機が迫ります。システムの開発者ジェイクは宇宙ステーションへ向かい、弟マックスは地上で調査を進めます。黒幕は国務長官デッコムで、大統領の座を狙っていました。兄弟は協力して停止コードを入手し、ジェイクとウーテがシステムを再起動させてジオストームを阻止します。宇宙ステーションは自爆しますが、二人は予備の衛星に乗り込んで脱出し、無事に地球へ帰還します。半年後、ジェイクは再建されたダッチボーイの主任エンジニアとして再び宇宙へ向かいます。
映画『ジオストーム』の概要
映画『ジオストーム』は2017年にアメリカで公開されたSFディザスター映画です。日本では2018年1月19日に公開され、世界各国の最新テクノロジーを集結させた気候コントロール衛星の暴走という、現代社会の技術への警鐘を鳴らすような設定が話題となりました。製作費は約1億2000万ドルから1億3000万ドルで、全世界興行収入は約2億2160万ドルを記録しました。ハリウッドの最先端シミュレーション技術によって実現された災害シーンは、圧倒的な臨場感で観客を魅了しました。
監督:ディーン・デブリン
ディーン・デブリンは1962年8月27日生まれのアメリカ合衆国の映画プロデューサー、脚本家、テレビディレクターです。ニューヨーク市で生まれ、制作会社エレクトリック・エンターテインメントの設立者でもあります。彼は破壊王として知られるローランド・エメリッヒ監督と長年コンビを組んできたことで有名です。代表作には『インデペンデンス・デイ』や『GODZILLA ゴジラ』があり、これらの作品で製作と脚本を担当しました。『ジオストーム』は彼にとって長編映画監督デビュー作となり、これまでの経験を活かして底抜けの超大作を完成させました。エメリッヒ監督とのタッグで培った破壊と災害の演出技術を存分に発揮し、盛り上がること最優先のハチャメチャな内容をきっちりと映像化することに成功しています。
脚本:ディーン・デブリンとポール・ギヨー
脚本はディーン・デブリン自身とポール・ギヨーが共同で執筆しました。ディーン・デブリンは監督業だけでなく、脚本家としても『インデペンデンス・デイ』シリーズや『スターゲイト』など数々のSF大作で実績を積んできました。『ジオストーム』では、気候コントロール技術という現実味のある設定と、陰謀渦巻く政治サスペンスを組み合わせることで、単なるディザスター映画に留まらない深みのあるストーリーを構築しています。兄弟の確執と和解、家族の絆というドラマ要素も織り交ぜながら、世界規模の災害に立ち向かう人々の姿を描き出しました。シンプルでわかりやすいストーリー展開ながら、よく練られたプロットと暗号を使った兄弟間のやり取りなど、観客を引き込む要素が随所に散りばめられています。
映画『ジオストーム』のキャスト
ジェイク・ローソン(ジェラルド・バトラー)
主人公ジェイク・ローソンを演じたのは、スコットランド出身の人気俳優ジェラルド・バトラーです。ジェイクは気象制御衛星システム「ダッチボーイ」の開発者であり、元国際宇宙ステーションの司令官です。娘ハンナを愛する父親でもあります。ジェラルド・バトラーは1969年11月13日生まれで、グラスゴー大学で法律を学び最優秀の成績で卒業しましたが、俳優の夢を諦めきれず転身しました。代表作には『オペラ座の怪人』でファントム役を演じて世界的にブレイクし、『300 スリーハンドレッド』ではスパルタ王レオニダス1世役で彫刻のような肉体美を披露しました。『P.S. アイラヴユー』『エンド・オブ・ホワイトハウス』シリーズなど、ロマンス映画からアクション映画まで幅広いジャンルで活躍しています。
マックス・ローソン(ジム・スタージェス)
ジェイクの弟マックスを演じたのはジム・スタージェスです。マックスは国務次官補で、兄の後任としてダッチボーイの管理者となります。シークレットサービスのサラと秘かに交際しています。ジム・スタージェスはイギリス出身の俳優で、『クラウド アトラス』などの大作映画に出演し、繊細な演技力で知られています。本作では兄との確執を抱えながらも、地球を救うために協力する弟の姿を好演しています。
サラ・ウィルソン(アビー・コーニッシュ)
マックスの婚約者でシークレットサービスのサラを演じたのはアビー・コーニッシュです。サラは大統領を警護する立場にありながら、マックスと共に陰謀に立ち向かいます。アビー・コーニッシュはオーストラリア出身の女優で、アクションシーンでも華麗な演技を見せています。本作では巧みな運転技術と銃撃戦のシーンで存在感を発揮しました。
レナード・デッコム(エド・ハリス)
国務長官で本作の黒幕であるレナード・デッコムを演じたのはエド・ハリスです。デッコムは大統領の座を狙い、ダッチボーイを兵器として利用して異常気象を引き起こそうとします。エド・ハリスはハリウッドを代表する実力派俳優で、『トゥルーマン・ショー』『アポロ13』など数々の名作に出演し、アカデミー賞にもノミネートされています。本作では冷徹な野心家を説得力ある演技で表現しています。
アンドリュー・パルマ大統領(アンディ・ガルシア)
アメリカ大統領のアンドリュー・パルマを演じたのはアンディ・ガルシアです。パルマ大統領はダッチボーイの停止コードを持つ唯一の人物であり、マックスとサラによって誘拐されながらも地球を救う鍵となります。アンディ・ガルシアはキューバ系アメリカ人の俳優で、『ゴッドファーザー PART III』などの大作で知られています。本作では誠実な大統領を品格ある演技で演じています。
ウーテ・ファスビンダー(アレクサンドラ・マリア・ララ)
国際宇宙ステーションの司令官ウーテを演じたのはアレクサンドラ・マリア・ララです。ウーテはジェイクと共に陰謀の真相を突き止め、最後まで彼を支えます。アレクサンドラ・マリア・ララはドイツ出身の女優で、『ヒトラー 最期の12日間』などの作品で国際的に評価されています。本作では冷静沈着な宇宙飛行士を好演しました。
映画『ジオストーム』のあらすじと結末
気象制御衛星ダッチボーイの開発と兄弟の確執
2019年、世界中で異常気象が多発し深刻な被害が続いていました。この危機に対処するため、アメリカと中国が主導し17か国が協力して、数千基の人工衛星で気象を制御する画期的なシステムが構築されます。このシステムは国際宇宙ステーションで管理され、堤防の決壊を防いだオランダの少年にちなんで「ダッチボーイ」と名付けられました。システムの開発者で最高責任者のジェイク・ローソンは、ある日ワシントンD.C.の査問会に呼ばれます。彼が上司の許可を取らずにダッチボーイを操作したことが問題視されたのです。議長を罵倒してしまったジェイクは職を失い、後任には弟のマックスが就任します。この出来事により、兄弟の関係は最悪のものとなってしまいました。
異常気象の発生とジェイクの宇宙行き
3年後の2022年、アフガニスタンのレギスタン砂漠で国連軍が衝撃的な光景を目にします。村ごと村人が完全に凍りついていたのです。この事件はダッチボーイの故障が原因と考えられました。2週間後には管理権が国連に移る予定でしたが、アメリカ大統領アンドリュー・パルマは選挙が近いこともあり、事件を秘密にしていました。緊急会議でマックスは宇宙ステーションへの人員派遣を求め、レナード・デッコム国務長官の薦めもあって、システムを知り尽くしているジェイクを送ることになります。一方、香港では道路が融解し地下のガス管が次々に爆発する異常事態が発生していました。フロリダで一人娘ハンナと週末を過ごしていたジェイクは、マックスの説得によりダッチボーイに問題が発生したことを知り、宇宙ステーションへ行くことを決意します。
陰謀の発覚と迫るジオストームの危機
宇宙ステーションに到着したジェイクは、回収した衛星のデータが消去されていたことを発見します。さらに香港上空の衛星を回収する際、クレーンアームが暴走して衛星を破壊してしまいます。宇宙服の姿勢制御装置が勝手に動いてジェイクを殺そうとしますが、装置を外して難を逃れました。パネルから抜き出したハードドライブを調べた結果、誤作動ではなくプログラムによる妨害工作だったことが判明します。地上ではマックスとサラが調査を進め、チェンから「ゼウス」という言葉を残されます。ゼウス計画とは、衛星で世界中に異常気象を起こしジオストームを発生させるシミュレーションでした。200機の衛星に不具合が起き、東京では巨大な雹が降り注ぎ、リオデジャネイロでは海と海岸が凍結します。宇宙ステーションのモニターにはジオストーム発生まで1時間30分の秒読みが表示されました。
デッコムの陰謀と大統領救出作戦
マックスが次の異常気象発生地を調べると、それはオーランドでした。デッコムに問い詰めると、停止コードは大統領自身の生体認証だと判明します。黒幕はデッコムで、オーランドに異常気象を起こして大統領と副大統領を殺し、自らが大統領の座に着こうとしていたのです。マックスはサラに大統領を連れ出すよう頼み、サラは銃を持った不審者を見たとでっち上げて大統領を車に乗せて逃走します。オーランドでは多数の雷が落ち、高速道路の高架が落下する大混乱となります。サラは巧みな運転で追手を撃退し、デッコムの待ち伏せも囮の車で回避します。警察に囲まれたデッコムは、第二次大戦後の偉大なアメリカを取り戻すために、ダッチボーイを敵を一掃する兵器として使ったと語ります。
システム再起動とジオストームの回避
大統領はケネディ宇宙センターに到着し、ジェイクに停止コードを送ります。宇宙ステーションでは自爆装置が作動し、スタッフは脱出しますが、ジェイクは手動での再起動が必要だと残ります。世界各地では災害が加速し、ドバイでは巨大な津波がビルを破壊し、モスクワへは熱ビームが発射されて都市が壊滅します。爆発で通路が吹き飛ばされますが、ウーテが現れて別の扉を開けます。二人は司令室に到着し、停止コードを入力してコンピューターを再起動させ、ジオストームの発生を防ぐことに成功します。宇宙ステーションの破壊が進む中、二人は予備の衛星の中に入って発射させ、制御ロケットを噴射してSOSを送ります。シャトルが打ち上げられて衛星を回収し、二人は無事に地球へ帰還しました。
まとめ
映画『ジオストーム』は、最先端技術の暴走という現代的なテーマと、兄弟の絆というドラマ要素を融合させた壮大なディザスター映画です。世界各地で同時多発的に発生する異常気象の映像は圧倒的な迫力で、東京の巨大な雹、リオの凍結した海、ドバイの津波など、ハリウッド最新技術による災害シーンは観る者を圧倒します。陰謀に立ち向かう兄弟の活躍と、地球規模の危機を回避する緊迫感あふれる展開が最後まで観客を引き込みます。ディーン・デブリン監督の長編デビュー作として、エンターテインメント性を最優先にした超大作となっています。


