浅倉秋成による小説『俺ではない炎上』。ある日突然、身に覚えのない罪で日本中から憎悪を向けられた男の物語です。この記事では、この傑作ミステリーの結末を含む詳細なあらすじ、登場人物、そして犯人の正体と動機について、完全なネタバレありで解説します。SNS社会の恐怖を描いた物語の真相を知りたい方は、ぜひご覧ください。
【30秒でわかる】小説「俺ではない炎上」のネタバレ
平凡な会社員・橿原は、ある日突然、自分とそっくりな顔の男「スルギ」が起こした迷惑行為の犯人としてSNSで特定され、大炎上する。完璧なアリバイがあるにも関わらず、何者かの工作によって証拠は次々と覆され、家族や同僚からも疑われ孤立していく。調査の末、犯人が大学時代の同級生・ミキオだと突き止める。ミキオは橿原に強い嫉妬心を抱き、整形手術で橿原そっくりの顔になって計画的に彼を陥れていたのだった。最終的にミキオは逮捕されるが、一度拡散された情報は消えず、橿原は「デジタルタトゥー」という癒えない傷を負ったまま日常に戻っていく。
登場人物
橿原市人(かしはら いちと)
本作の主人公。文具メーカーに勤める平凡なサラリーマン。ある日、迷惑系配信者「スルギ」と瓜二つの顔だという理由でSNSで特定され、炎上事件に巻き込まれる。身の潔白を証明するために、自分を陥れた見えない犯人を追い始める。
ミキオ
橿原の大学時代の同級生。本作の真犯人。大学時代のある出来事がきっかけで、橿原に対して異常なほどの嫉妬と劣等感を抱き続けていた。周到な計画を立て、整形までして橿原の社会的信用を失墜させようと目論む。
日野
橿原の会社の同僚であり、良き理解者。周囲が橿原を疑う中でも、彼の無実を信じ続け、犯人捜しに協力する。橿原にとっては唯一の心の支えとなる重要な人物。
橿原紗理奈(かしはら さりな)
橿原の妻。当初は夫の無実を信じていたが、次々と出てくる不利な状況証拠や世間の激しいバッシングに心を揺さぶられ、次第に橿原を疑いの目で見るようになってしまう。
ストーリー
突然の炎上と完璧なアリバイ崩し
ある土曜の朝、会社員の橿原は、駅のホームで危険行為を繰り返す迷惑系配信者「スルギ」としてSNSで特定され、一気に炎上する。スルギの顔は自分と瓜二つだが、全く身に覚えがない。しかし、アリバイを証明しようとしても、何者かによって証拠が巧みに改ざん・破壊され、家族や会社からの信用を失っていく。
孤立無援の犯人探し
警察もまともに取り合ってくれず、妻からも疑いの目を向けられ、橿原は完全に孤立する。残された味方は、同僚の日野だけだった。橿原は、自分を陥れた犯人が過去の自分を知る人物ではないかと考え、SNS上に残されたわずかな情報を頼りに、独自の調査を開始する。
大学時代の記憶と犯人の正体
調査を進める中で、配信者「スルギ」の名前が、大学時代に友人たちと熱中した対戦ゲームのキャラクター名と同じであることに気づく。そこから記憶を辿り、犯人が大学時代の同級生・ミキオであるという結論に達する。ミキオは整形手術で橿原そっくりの顔になり、周到な計画で彼を狙っていたのだ。
衝撃の動機と炎上の結末
橿原はミキオと対峙し、その動機が大学時代の些細な出来事から生まれた、長年の凄まじい嫉妬心であったことを知る。ミキオの犯行は暴かれ逮捕されるが、橿原の日常は元には戻らなかった。ネットに刻まれた「デジタルタトゥー」は消えず、彼は人々の視線におびえながら生きていくことになる。SNS炎上の本当の恐怖を描き、物語は幕を閉じる。
映画版「俺ではない炎上」
多くの原作ファンから実写化が熱望されていましたが、ついに映画化が決定しました。SNSの恐怖に立ち向かう主人公を阿部寛が演じ、監督は『水曜日が消えた』の山田篤宏が務めます。豪華キャストと実力派スタッフが、この現代的なサスペンスをどのように映像化するのか、期待が高まります。
- 監督: 山田篤宏
- キャスト:
- 山縣泰介 役: 阿部寛
- サクラ 役: 芦田愛菜
- 住吉初羽馬 役: 藤原大祐
- 青江 役: 長尾謙杜(なにわ男子)
- 山縣芙由子 役: 夏川結衣
まとめ
小説『俺ではない炎上』は、SNSによる誹謗中傷や炎上が誰の身にも起こりうる恐怖を描いた、現代社会への警鐘ともいえるミステリー作品です。今回ネタバレした通り、犯人の動機と衝撃の結末は、読者に深い余韻と問いを残します。映画版の公開も決定し、ますます注目が集まる本作。小説を未読の方はもちろん、すでに読んだ方も、この解説を機に物語の深さを再確認してみてはいかがでしょうか。