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映画『パターソン』のネタバレ!結末まで徹底解説

映画『パターソン』は、ジム・ジャームッシュ監督が描く静かで美しい日常の物語です。一見すると何も起こらない平凡な1週間のように見えますが、その中に詩的な輝きと人生の真実が散りばめられています。ニュージャージー州パターソン市で暮らすバス運転手パターソンの日常を通して、繰り返される毎日の中にある小さな変化と幸せを見つめる作品です。本記事では、この映画の結末までを詳しく紹介していきます。

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30秒で分かる映画『パターソン』のネタバレ!

バス運転手パターソンは、妻ローラと愛犬マーヴィンとともに平穏な日々を送っています。詩を書くことが趣味の彼は、秘密のノートに日々の想いを綴っていました。しかし土曜日、留守中にマーヴィンがノートをビリビリに破いてしまいます。深く落ち込むパターソンでしたが、翌日散歩に出かけた公園で日本人詩人と出会い、白紙のノートを受け取ります。そして新たな詩を書き始め、また月曜日の朝が訪れるのでした。

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映画『パターソン』の概要

2016年に製作されたアメリカ映画で、2017年8月26日に日本で公開されました。上映時間は118分です。ジャームッシュ監督らしいオフビートな作風と静かな語り口で、日常の中に潜む詩的な美しさを描き出した作品です。主演のアダム・ドライバーはロサンゼルス映画批評家協会賞とトロント映画批評家協会賞で最優秀男優賞を受賞し、愛犬マーヴィン役のネリーはカンヌ国際映画祭でパルム・ドッグ賞を受賞しています。

監督:ジム・ジャームッシュ

ジム・ジャームッシュはアメリカを代表するインディペンデント映画の巨匠です。1953年オハイオ州生まれで、ニューヨークを拠点に活動してきました。デビュー作『パーマネント・バケーション』以来、独特の画作りとオフビートな作風で知られています。『ストレンジャー・ザン・パラダイス』『ダウン・バイ・ロー』『ミステリー・トレイン』など数々の名作を生み出してきました。『パターソン』では監督と脚本の両方を務め、時代に合わせて変化しながらも一貫したテーマを描き続ける彼の才能が遺憾なく発揮されています。詩人ウィリアム・カーロス・ウィリアムズの同名詩集からインスピレーションを得て、現代に生きる人々の日常に潜む詩的な瞬間を切り取りました。

主演:アダム・ドライバー

アダム・ドライバーは1983年カリフォルニア州生まれの俳優です。元海兵隊員という異色の経歴を持ち、ジュリアード音楽院で演劇を学びました。『スター・ウォーズ』続三部作のカイロ・レン役で世界的な知名度を得ましたが、本作では一転して寡黙で穏やかなバス運転手を演じています。微細な表情の変化や何気ない仕草で複雑な感情を表現する繊細な演技が高く評価されました。『マリッジ・ストーリー』『ラストデュエル』など幅広い役柄をこなす実力派俳優として、現在のハリウッドを代表する存在となっています。本作での静かで抑制された演技は、彼の俳優としての幅広さを証明するものとなりました。

ヒロイン:ゴルシフテ・ファラハニ

ゴルシフテ・ファラハニはイラン出身の女優です。1983年テヘラン生まれで、イランで女優としてキャリアをスタートさせましたが、その後フランスに移住して国際的に活躍しています。『バハールの涙』で主演を務めるなど、数々の作品に出演してきました。本作では主人公の妻ローラを演じ、夢見がちで芸術家肌の自由奔放な女性を魅力的に表現しました。白黒のデザインで家中を埋め尽くし、カントリー歌手になりたいと突然言い出すなど、型破りな性格のローラをユーモアと温かみを持って演じています。夫パターソンとの対等で愛情深い関係性を、自然体の演技で描き出しました。

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映画『パターソン』のキャスト

パターソン(アダム・ドライバー)

ニュージャージー州パターソン市に住むバス運転手です。同じ名前の街に暮らす寡黙で優しい男性です。詩を書くことが趣味で、秘密のノートに日々の想いや風景を綴っています。規則正しい生活を送り、妻ローラを深く愛しています。元海兵隊員という過去を持ちますが、現在は穏やかな日常を大切にしています。アダム・ドライバーは『スター・ウォーズ』シリーズのカイロ・レン役で知られますが、本作では全く異なる静かな役柄を繊細に演じています。

ローラ(ゴルシフテ・ファラハニ)

パターソンの妻です。イラン系の美しい女性で、芸術家肌の自由奔放な性格を持っています。家中を白黒のデザインで飾り、カップケーキ作りに熱中したり、突然カントリー歌手になりたいと言い出したりと、次々と新しいことに挑戦します。夫の詩の才能を認めており、出版を勧めています。ゴルシフテ・ファラハニは『バハールの涙』などで知られるイラン出身の国際的女優で、本作では個性的で愛らしいローラを魅力的に演じました。

日本人詩人(永瀬正敏)

物語の終盤に登場する日本からやってきた詩人です。パターソン市の滝の前で落ち込むパターソンに声をかけ、白紙のノートを手渡します。翻訳は詩の本質を失わせると語り、日本語で詩を書き続けています。永瀬正敏は『HANA-BI』『空気人形』などの作品で知られる日本の名優で、ジャームッシュ監督作品への出演は『ミステリー・トレイン』以来27年ぶりとなりました。短い登場ながら印象的な存在感を示しています。

ドク(バリー・シャバカ・ヘンリー)

パターソンが毎晩訪れるバーのマスターです。チェスが趣味で、一人で敵役も兼ねながらプレーする姿が印象的です。パターソンの良き理解者として、静かに彼の話に耳を傾けます。バーの壁にはパターソン市出身の偉人たちの写真が飾られており、地元への愛着が感じられます。

映画『パターソン』のあらすじと結末

月曜日から始まる1週間

物語は月曜日の朝、パターソンとローラが向かい合って寝ているベッドから始まります。パターソンは目覚まし時計なしで決まった時間に目を覚まし、隣で眠る妻にキスをします。ローラは双子の夢を見たと話します。パターソンは朝食を済ませると、徒歩で仕事場に向かいます。バスを運転しながら、彼は乗客たちの会話に耳を傾けます。昼休みには滝の見える公園でランチボックスを開き、詩を書きます。夕方帰宅すると、ローラが作った夕食を食べ、愛犬マーヴィンを散歩に連れ出します。バーに立ち寄ってビールを1杯だけ飲んで帰宅し、先に寝ているローラの隣で眠りにつきます。

繰り返される日常と小さな変化

火曜日から金曜日にかけて、同じようなルーティンが繰り返されます。しかし毎日少しずつ違うことが起こります。双子が街中に何組も現れ、パターソンの目に留まります。水曜日にはローラが詩のコピーを取ることを約束させ、高価なギターの購入を許可してもらいます。木曜日には詩を書く少女と出会い、彼女の雨についての詩に深く感動します。金曜日にはバスが故障するトラブルに見舞われます。バーでは失恋した男が偽物の銃を持ち出す騒ぎも起こります。毎日の寝起きのシーンでは、二人の寝姿が少しずつ異なっており、同じようで同じでない日々が続いていきます。

土曜日の悲劇

土曜日、ローラはフリーマーケットでカップケーキを売りに出かけます。パターソンは一人で滝の前のベンチに座り、詩を書きます。夕方、ローラと映画を見に行き、楽しい時間を過ごします。しかし帰宅すると、マーヴィンが大切な詩のノートをシュレッダーにかけたようにビリビリに破いてしまっていました。長年書き溜めてきた詩がすべて失われ、パターソンは深く落ち込みます。ローラは慰めようとしますが、彼の悲しみは深いものでした。この瞬間、パターソンの穏やかな日常に大きな亀裂が入ります。

日曜日の出会いと再生

眠れぬ夜を過ごしたパターソンは、日曜日の朝に一人で散歩に出かけます。いつもの滝の前のベンチに座っていると、一人の日本人男性が声をかけてきます。彼は日本からやってきた詩人で、パターソン出身の詩人ウィリアム・カーロス・ウィリアムズのファンだといいます。パターソンがノートを失ったことを知ると、日本人詩人は白紙のノートを差し出します。空白のページには無限の可能性があると語り、パターソンを励まします。翻訳はレインコートを着てシャワーを浴びるようなものだと語る彼の言葉に、パターソンは新たな希望を見出します。そして新しいノートに最初の詩「その1行」を書き始めます。再び月曜日の朝が訪れ、パターソンは静かに起き上がり、新たな1週間を迎えるのでした。

まとめ

映画『パターソン』は、日常の中に潜む詩的な美しさを静かに描いた傑作です。大きな事件は起こりませんが、繰り返される毎日の中にある小さな変化と幸せを丁寧に切り取っています。ノートを失うという悲劇を経験しながらも、白紙のページから再び始める希望を得るパターソンの姿は、人生の真実を物語っています。ジャームッシュ監督の円熟した演出と、アダム・ドライバーの繊細な演技が見事に調和した、心に残る作品となっています。

この記事を書いた天使
ネタバレ天使長

映画・漫画・小説作品の核心を読み解き、鮮明かつ整理された構成で解説する権威ある執筆者。膨大な伏線や結末を誰にでもわかりやすく伝える手腕は、「ネタバレを通じて作品の深層を味わえる」と読者に信頼されています。知的好奇心を刺激し、驚きと洞察を与えるネタバレのまとめ方は、多くのファンの道標となっています。

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