全世界で愛されるミュージカル「ウィキッド」を映画化。魔法の国オズで出会ったエルファバとグリンダは、反発しながらも友情を深めます。しかし、オズの魔法使いとの出会いで隠された秘密を知り、二人の運命は大きく変わります。本作は、私たちが持つ物事の見方を変える、感動と興奮に満ちたエンターテインメント超大作です。
映画『ウィキッド ふたりの魔女』のネタバレ!
魔法の国オズで、緑色の肌を持つエルファバ(シンシア・エリヴォ)と人気者のグリンダ(アリアナ・グランデ)はシズ大学で出会い、最初は反発しながらも友情を深めます. エルファバは魔法の才能を見出され、オズの魔法使いに仕えることを期待されます。
しかし、エルファバとグリンダがエメラルドシティでオズの魔法使いに会うと、彼は魔法使いではなく、動物たちを道具として利用していることを知ります。エルファバは動物たちのために立ち上がり、オズの魔法使いと対立。グリンダはエメラルドシティでの地位を手放せず、エルファバと別れる道を選びます。
エルファバは「重力から自由になる(Defying Gravity)」という歌と共にオズの西へと飛び去り、「西の悪い魔女」と呼ばれるようになります。
映画は「つづく」で終わり、エルファバが“西の悪い魔女”になるまでの物語が描かれます。
映画『ウィキッド ふたりの魔女』のあらすじと結末
エルファバとグリンダの出会いと友情
映画『ウィキッド ふたりの魔女』は、そのタイトル通り、エルファバとグリンダ(当初の名はガリンダ)というオズの国に暮らす二人を主人公にした作品です。エルファバはシンシア・エリヴォ、グリンダはアリアナ・グランデが演じています。母が飲んだ緑色の薬の力で緑色の肌を持って生まれたエルファバは、長らく差別を受けて生きてきました。妹のネッサローズの付き添いで訪れたシズ大学に入ることになり、そこでガリンダとルームメイトになります。
エルファバが入学を認められたのは、魔法学部の学部長マダム・モリブルから魔法の腕を認められたからです。将来はオズの国を支配するオズの魔法使いの大臣として仕えることができるだろうと期待をかけられたエルファバは、生まれて初めて自分の持つ力に自信と希望を抱いたのでした。
当初は反発し合っていた二人ですが、互いの本当の姿を知っていくにつれかけがえのない友情を築いていきます。中でもハイライトは、魔女の帽子を被ったエルファバがスターダストで笑われていた時、ガリンダがエルファバに寄り添い、エルファバの踊りが皆に受け入れられたシーンです。この頃、ガリンダはエルファバを人気者にしようと試行錯誤しますが、このガリンダによる“プロデュース”はラストへの伏線になっています。
シズ大学での出来事
シズ大学では、ジョナサン・ベイリー演じる転校生のフィエロ王子との恋、エルファバとガリンダの友情、ヤギのディラモンド教授をはじめとする動物たちへの迫害などが描かれ、物語はクライマックスへと向かっていく。特に、動物たちが言葉を話すことが禁じられる風潮が高まり、最後の動物教授であったディラモンド教授が大学を去る事件は、エルファバの怒りを爆発させます。
オズの魔法使いとの出会いと真実
エルファバはオズの魔法使いに招待され、グリンダと共にエメラルド・シティへ向かいます。そこでは、オズの魔法使いが誰も読めなかった魔法の書グリモリーを読み、オズに繁栄をもたらしたという物語が喧伝されていました。エルファバはオズの魔法使いに自分の力を証明しようとグリモリーを読み、魔法の力で猿の兵隊に翼を生やします。しかし、ここでマダム・モリブルとオズの魔法使いが翼の生えた猿達を「偵察部隊」「スパイ」と呼んだことで、動物達を道具にしようとしていた黒幕がこの二人であったことが明らかになります。
さらに、オズの魔法使いは魔法使いではなく、グリモリーを読むことができなかったのです。彼は魔法使いだと勘違いされた状況を利用して王になっただけで、エルファバのような強力な魔女が必要だったのです。オズの魔法使いは「共通の敵を作ること」が自分の故郷では有用だったという旨の発言をしており、それは私達が住む世界でも同様の営みが繰り返されてきたことを示唆しています。
エルファバの決断と「西の悪い魔女」へ
怒ったエルファバはグリモリーを持ち去り、オズの魔法使いとマダム・モリブルは兵士たちにエルファバを追わせます。猿の兵隊を率いるシーンのマダム・モリブル(ミシェル・ヨー)は迫力があります。グリンダも指示を受けてエルファバを追いますが、二人は互いに「あなたに幸せになってほしい」と言い合って対立してしまいます。エルファバは誰からも支配されず自由になること、そして動物達への公正を求めていました。一方、グリンダはエメラルド・シティでの約束された生活を手放せずにいるのです。
二人は互いの幸せを願っているが共に道を歩むことはできません。それでもグリンダにはエルファバを喜んで送り出すことはできます。グリンダのカラーをエルファバに取り込もうとしていた「Popular」のシーンとは違い、グリンダはエルファバのファッションに合った黒いマントを着せてあげるのです。エルファバが歌う「Defying Gravity」は、「重力から自由になる」 という歌詞が 「支配からの解放」 という意味とダブルミーニングになっています。エルファバは魔法使い達と並ぶ力を手に入れることを宣言し、オズの国の西へと飛び去っていきました。マダム・モリブルは国中にエルファバを「ウィキッド 邪悪な魔女」と喧伝し、エルファバと別れたグリンダはマダム・モリブルの抱擁を受けるのでした。
最後に画面には「つづく」と表示され、続編の『ウィキッド:フォー・グッド(原題)』は2025年11月21日に米国で公開される予定です。映画『ウィキッド ふたりの魔女』では、エルファバがいわゆる“西の悪い魔女”になるまでの物語が描かれたのです。
グリンダの選択
一方、グリンダはエルファバと共に行くことを選べませんでした。思えばグリンダは人を助けたがっていましたが、いつもどこか独りよがりで、その動機は「良いことがしたい」という自らの欲求に根ざしていました。グリンダは誰かのために動いているようでいて、自分のために行動している節があったのです。ガリンダからグリンダに改名したのは、発音できなかったディラモンド教授へのトリビュートとしてであり、『オズの魔法使い』でお馴染みの“南の良い魔女”グリンダの名前になったのです。グリンダはエルファバのようにシステムから抜け出すことはできませんでした。強い魔法の力を持っていたかどうかが二人の違いかもしれません。多くの人はグリンダのように自分が所属する組織の中で折り合いをつけて生きていくことを迫られるのかもしれません。
映画の魅力と見どころ
映画『ウィキッド ふたりの魔女』は、単なるファンタジーではなく、貧富、人種差別、障害といった社会的なテーマが強く込められています。エルファバの境遇や動物たちの扱いは、現代社会が抱える問題にも通じる部分があり、観客に深い問いを投げかけます。
シンシア・エリヴォとアリアナ・グランデの二人の主演の演技は高く評価されており、アカデミー賞にもノミネートされています。特に、アリアナ・グランデは“人気者だけど浅はかさがあり、偏見や独善性が抜けていない世間知らず”というグリンダのキャラクターを見事に表現しています。
また、映像美と美術も本作の大きな魅力です。冒頭の広大なチューリップ畑はCGではなく本物で、900万もの球根を植えて作られました。さらに、『オズの魔法使い』へのオマージュが随所に散りばめられており、ユニバーサル・ピクチャーズのロゴ、タイトルロゴのフォント、『オズの魔法使』の登場人物たちのシルエット、虹色のチューリップ畑、グリンダのピンクのドレスなど、ファンにはたまらない演出が満載です。
ミュージカルナンバーも本作の重要な要素であり、「Defying Gravity」をはじめとする数々の名曲が映画を彩ります。また、ブロードウェイ版の初代エルファバ役イディナ・メンゼルと初代グリンダ役クリスティン・チェノウェスがカメオ出演しているのも見逃せないポイントです。
主要登場人物
エルファバ(シンシア・エリヴォ)
緑色の肌を持つ聡明で強い魔力を持った女性. 長らく差別を受けてきたが、シズ大学で魔法の才能をマダム・モリブルに見出される。オズの魔法使いに仕えることを期待されるが、彼の欺瞞を知り対立する。 動物たちのために戦い、オズの国を支配するシステムから解放されることを求め、「西の悪い魔女」と呼ばれるようになる。
グリンダ(アリアナ・グランデ)
当初はガリンダという名で、誰からも愛される人気者。シズ大学でエルファバとルームメイトになり、最初は反発するも友情を深める。エルファバを人気者にしようと試みるが、オズの魔法使いの真実を知ったエルファバと袂を分かち、エメラルドシティでの地位を選ぶ。後にグリンダに改名し、『オズの魔法使い』でお馴染みの“北の良い魔女”となる。
オズの魔法使い(ジェフ・ゴールドブラム)
オズの国を支配するとされる偉大な魔法使い。しかしその正体は魔法使いではなく、魔法の書グリモリーを読むこともできないただの人間。民衆をコントロールするために「共通の敵を作る」ことが有用だと考えており、動物たちを道具として利用する. 竜巻に乗ってオズの国にやってきて、魔法使いだと勘違いされた状況を利用して王になった。
マダム・モリブル(ミシェル・ヨー)
シズ大学の魔法学部の学部長で、エルファバの魔法の腕を見出す。将来エルファバがオズの魔法使いの大臣として仕えることを期待する. しかし、オズの魔法使いと共に動物たちを道具として利用していた黒幕であり、エルファバが自分たちの意に沿わないと分かると、「邪悪な魔女」として国中に喧伝する。天候を操る力を持つ。
フィエロ王子(ジョナサン・ベイリー)
ウィンキー国からの転校生で、エルファバと恋に落ちる。表面上は軽く見えるが、動物たちの迫害に対してエルファバと共に怒りを示すなど、内面は異なる. グリンダとも一時的にカップルになる。
ネッサローズ(マリッサ・ボーディ)
エルファバの妹で、緑色の肌を持たずに生まれたが、脚が不自由. 父から溺愛されている。シズ大学に付き添いで来たエルファバと共に大学に入学する. 後に父親から美しい銀の靴を受け取る。
ディラモンド教授(ピーター・ディンクレイジ)
シズ大学で歴史学を教える言葉を話すヤギ. 動物たちが言葉を話すことが禁じられる風潮の中で大学から追放される。この事件がエルファバの怒りを爆発させるきっかけとなる。
まとめ
映画『ウィキッド ふたりの魔女』は、エルファバとグリンダという二人の魔女の友情と葛藤を通して、“悪”とは何か、自由とは何かを深く考えさせる感動的な物語です。壮大なスケールと美しい映像、そして主演二人の素晴らしい演技は観る者を魅了し、続編への期待を高めます。まだご覧になっていない方は、ぜひ劇場でこの魔法の世界を体験してみてください。