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映画『少年と犬』のネタバレ!

2025年3月20日に公開された映画『少年と犬』は、直木賞を受賞した馳星周の同名小説を原作とするヒューマンドラマです。『ラーゲリより愛を込めて』の製作チームが再集結し、犬と人間のかけがえのない絆を描いた感動の物語として注目を集めています。高橋文哉と西野七瀬がダブル主演を務め、震災で傷ついた人々が犬との出会いを通して心の救済を得ていく姿を描きます。犬好きはもちろん、そうでない人の心にも深く響くであろう本作のネタバレを、結末まで詳しく解説します。

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『少年と犬』のネタバレ!

映画『少年と犬』は、東日本大震災後の仙台で職を失った青年・和正が一匹の犬・多聞(たもん)と出会うところから始まります。多聞は和正(高橋文哉)とその家族に懐き、かけがえのない存在となりますが、常に西の方角を気にしている様子を見せます。しかし、和正が事件に巻き込まれた混乱の中で、多聞は姿を消してしまいます。

時が流れ、多聞は滋賀県で罪を背負い生きる女性・美羽(西野七瀬)と出会い、共に暮らすようになります。多聞との生活を通して、美羽は徐々に心の平穏を取り戻していきます。そんな中、多聞を捜し続ける和正が美羽の元に現れ、二人は多聞を通して少しずつ心を通わせ始めます。しかし、美羽の過去の罪は二人を追いかけ、和正は美羽との約束を果たすため、多聞と共に「少年」を探す旅に出ます。

和正は多聞を連れて西へ向かう途中、不治の病を患う猟師と出会い、短い時間を共に過ごします。その後、多聞はついに熊本で内村ひかるという少年と出会います。ひかるは東日本大震災で故郷を離れ、言葉を失っていましたが、多聞との再会によって再び話せるようになります。実は、多聞はかつてひかるが東北で飼っていた犬だったのです。しかし、2016年の熊本地震が発生し、多聞は倒壊した家屋からひかるを庇って命を落としてしまいます。

一方、刑期を終えて出所した美羽は、インターネットを通じて内村徹と連絡を取り、多聞の最期を知ります。美羽は、幽霊となった和正から多聞の旅の物語を聞かされ、和正は幽霊になっても多聞の冒険を見守っていたのです。最後に、美羽は兵庫で一人の少女と出会い、多聞と和正の物語を語り聞かせるのでした。一部のレビューでは、高橋文哉演じる文哉が幽霊として登場するファンタジー要素に賛否両論があったことが触れられています。

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「少年と犬」の概要

監督:瀬々敬久

瀬々敬久監督は、社会派ドラマから恋愛物語まで幅広いジャンルを手がける名手として知られています。『ラーゲリより愛を込めて』(2022年)、『護られなかった者たちへ』(2021年)、『糸』(2020年)、『8年越しの花嫁 奇跡の実話』(2017年)、『64-ロクヨン-前編/後編』(2016年)など、その繊細で丁寧な演出は多くの観客を魅了してきました。特に『ラーゲリより愛を込めて』では、優れた映画製作者に贈られる藤本賞・奨励賞を受賞するなど、その実力は高く評価されています。『少年と犬』でも、人間と犬の心の交流をどのように描き出すのか、瀬々監督の手腕に期待が寄せられていました。

脚本:林民夫

脚本家の林民夫氏は、『永遠の0』(第38回日本アカデミー賞優秀脚本賞受賞)、『藁の楯』(第66回カンヌ国際映画祭コンペティシン部門出品)、『ディア・ファミリー』(2024年)など、数々の話題作を手がけてきた実力派です。瀬々敬久監督とは、『ラーゲリより愛を込めて』(2022年)、『糸』(2020年)に続いてのタッグとなり、感動の名作を生み出してきた最強チームの復活として注目されました。原作の持つ感動的な要素に、林氏がどのような脚本を書き上げたのか、原作ファンからも期待が高まっていました。

原作:馳星周

馳星周氏は、ノワール小説の旗手として日本の文学界を牽引する作家の一人です。2020年に発表された小説『少年と犬』(文春文庫)は、第163回直木賞を受賞し、現在までに累計発行部数50万部を突破するベストセラーとなっています。様々な背景を抱えた人々と一匹の犬・多聞の触れ合いを描いた短編連作小説であり、犬好きだけでなく多くの読者の心を掴み、「現代版の『フランダースの犬』のようだ」と評されるほど感動を呼んでいます。馳氏は、犬を無条件の愛の手本として、神様が人間に遣わしてくれた生き物だと信じており、映画を通して多くの人がそのことに共感してくれることを願っています。

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『少年と犬』のキャスト

多聞(たもん)

飼い主を亡くして岩手県釜石からさまよってきた犬 。西の方角を目指して日本を縦断する旅をします。映画では、さくらという名前の犬が多聞を演じています。

中垣和正(高橋文哉)

東日本大震災後の貧困にあえぎながら、家族のために被災地で窃盗団のドライバーをしている青年です。犬の多聞と出会い共に生きる中で、多聞が常に西の方角を見つめていることに気づきます。高橋文哉は、『仮面ライダーゼロワン』で主演を務め、映画『あの人が消えた』などにも出演しています。本作では、多聞との出会いを通して変化していく和正の繊細な感情を演じました。

須貝美羽(西野七瀬)

ある罪を犯し、秘密を抱えながら生きる女性です。多聞と出会ったことで、徐々に本当の自分を取り戻していきます。やがて、多聞を追いかけてきた和正と出会い、複雑な感情を抱くようになります。西野七瀬は、元乃木坂46の人気メンバーであり、『孤狼の血 LEVEL2』や『シン・仮面ライダー』など、女優としても活躍しています。本作では、心の傷を抱えながらも多聞との触れ合いを通して再生していく美羽を演じました。

沼口正(伊藤健太郎)

震災に見舞われた仙台で、和正に危険な仕事を斡旋する先輩です。伊藤健太郎は、ドラマ『今日から俺は!!』や映画『惡の華』などに出演しています。

中垣麻由美(伊原六花)

和正の姉であり、認知症の母を介護しながら働く女性です。伊原六花は、ドラマ『チア☆ダン』や映画『ブレイブ -群青戦記-』などに出演しています。

片野弥一(柄本明)

山奥に住み、不治の病に侵されている猟師であり、多聞と出会う人物の一人です。柄本明は、数々の映画やドラマで存在感のある演技を見せるベテラン俳優です。

内村徹(斎藤工)

多聞にとって「たった一人の大切な人」である少年・光の父親です。斎藤工は、映画『シン・ウルトラマン』やドラマ『BG〜身辺警護人〜』などに出演しています。

内村久子(宮内ひとみ)

多聞にとって「たった一人の大切な人」である少年・光の母親です。宮内ひとみは、舞台やドラマで活躍する俳優です。

その他、嵐莉菜、木村優来、栁俊太郎、一ノ瀬ワタル、江口のりこ、渋川清彦、美保純、眞島秀和、手塚理美、益岡徹など、豪華なキャストが物語を彩ります。多聞を演じた犬・さくらの演技も高く評価されています。

『少年と犬』のあらすじと結末

震災後の出会いと、見えない絆

2011年、東日本大震災から半年後の宮城県仙台市。職を失い、生活苦にあえぐ青年・中垣和正は、ひょんなことから首輪に「多聞」と名札のついた一匹の犬と出会います。和正は多聞を飼うことにし、認知症の母も多聞を見て昔飼っていた犬を思い出すなど、多聞は中垣家にとってかけがえのない存在となっていきます。しかし、多聞はいつもどこか遠く、西の方角を見つめていました。そんな中、和正は生活のために危険な仕事に手を染めてしまい、そのトラブルに巻き込まれる形で多聞と離れ離れになってしまいます。

罪を背負う女性と、癒しを与える犬

2013年、滋賀県で暮らす須貝美羽は、過去の罪に苦しみながら生きていました。そんな彼女の前に、傷を負った犬・多聞が現れます。美羽は多聞を「レオ」と名付け、共に生活するうちに心の癒しを得ていきます。デリヘル嬢として働く美羽にとって、レオは唯一の心の支えでした。しかしある日、美羽がSNSに投稿したレオの写真を見た和正が、多聞を探して彼女の元に現れます。和正は多聞を返してほしいと頼みますが、美羽はそれを拒否します。

悲しい運命と、少年との再会を願う旅

成り行きから美羽の妹の結婚式に出席した和正は、美羽が抱える孤独と苦しみを知ります。美羽と多聞とバーベキューをするなど、束の間の交流を深めますが、美羽が過去に犯した罪が発覚し、自首を決意します。和正は、美羽の頼みを受け、多聞を南にいるはずの「少年」のもとへ送り届けることを約束します。しかし、その旅の途中、和正は居眠り運転のトラックに轢かれて亡くなってしまいます。その後、多聞は病を患う猟師と出会い、最期を看取ります。そして、西へ、西へと旅を続け、ついに熊本で内村ひかるという言葉を失った少年と出会うのです。

再会と別れ、そして繋がる想い

多聞とひかるは、まるで前世で生き別れた恋人のようにすぐに打ち解けます。実は、ひかるは東日本大震災で故郷の東北を離れ、多聞はかつてひかるが東北で飼っていた犬だったのです。多聞との再会によって、ひかるは再び言葉を取り戻します。しかし、喜びも束の間、2016年の熊本地震が発生し、多聞は倒壊した自宅でひかるを庇って命を落としてしまいます。刑期を終えて出所した美羽は、ネットを通じてひかるの父・徹と連絡を取り、多聞の壮絶な旅と最期を知ります。美羽は、幽霊となった和正から多聞の冒険譚を聞かされ、和正は多聞の旅をずっと見守っていたことを知ります。そして、美羽は兵庫で出会った少女に、多聞と和正の物語を語り継ぐのでした。

まとめ

映画『少年と犬』は、震災という悲劇を背景に、人と犬との間に結ばれる深い絆を描いた感動の物語です。出会いと別れを繰り返しながら、それぞれの場所で生きる人々が、多聞という一匹の犬を通して心の救済を得ていきます。高橋文哉と西野七瀬の演技、そして多聞を演じた犬の懸命な姿は、観る者の心に深く刻まれるでしょう。様々な困難に見舞われながらも、前向きに生きようとする人々の姿と、彼らに寄り添う犬の無償の愛が、観る者に温かい感動を与えてくれる作品です。