1997年公開の『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』は、大ヒット作『ジュラシック・パーク』の4年後を描くシリーズ第2作です。前作の舞台となった島から離れたソルナ島(サイトB)で生き残っていた恐竜たちが物語の中心となります。
映画『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』のネタバレ!
『ジュラシック・パーク』の4年後、恐竜たちはイスラ・ソルナ(サイトB)で生き延びていた。ジョン・ハモンドはイアン・マルコム(ジェフ・ゴールドブラム)に調査を依頼するが、恋人の古生物学者サラ・ハーディング(ジュリアン・ムーア)がすでに島へ向かったと知り、彼も救出のため向かう。
一方、ハモンドの甥ピーター・ラドローは恐竜を捕獲し、新たなパークを作ろうとする。恐竜たちの襲撃で混乱が生じ、ラドローは捕獲したティラノサウルスをサンディエゴへ運ぶが、暴走し街を襲う。マルコムは子どもを使って親を誘導し、島へ戻すことに成功。
ラドローはティラノサウルスに食べられ、ハモンドは島を恐竜保護区として隔離することを決める。
映画『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』の概要
映画『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』は、1997年に公開されたアメリカの冒険SF映画であり、『ジュラシック・パーク』の続編となるシリーズ第2作目です。監督は前作に引き続きスティーヴン・スピルバーグが務めました。スピルバーグ監督が自身の作品の続編を担当したのは、『インディ・ジョーンズ』シリーズと本作のみです。脚本はデビッド・コープが担当しました。前作が社会現象となるほどの大成功を収めた一方で、本作は原作のストーリーから大きく異なる点が多く、批評家からは賛否両論を受けました。しかし、興行収入は約6億1000万ドルを記録するヒット作となりました。
スティーヴン・スピルバーグ(監督)
スティーヴン・スピルバーグは、「ジュラシック・パーク」シリーズだけでなく、「E.T.」、「ジョーズ」、「インディ・ジョーンズ」シリーズ、「未知との遭遇」、「シンドラーのリスト」、「プライベート・ライアン」など、数々の映画史に残る大ヒット作を手がけてきた巨匠です。『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』では、前作で提示された恐竜と人間というテーマをさらに発展させ、よりアクションとスリルを強調した演出を試みています。彼は、前作の成功を受けて続編の監督も務めることになり、観客の期待に応えるべく、新たな恐竜や危機的な状況を描き出しました。ただし、原作との相違点については、原作者のマイケル・クライトンが映画製作においては自由にストーリーを作ってほしいと語っていたことも背景にあります。
デビッド・コープ(脚本)
デビッド・コープは、『ジュラシック・パーク』の続編である本作の脚本を担当しました。彼は、スピルバーグ監督との密な連携のもと、マイケル・クライトンの原作『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク2』をベースに、映画独自のストーリーを構築しました。コープは、アクションシーンやサスペンス要素を盛り込みながら、登場人物たちのドラマを描くことに注力しました。彼の代表的な脚本作品には、『ミッション:インポッシブル』、『スパイダーマン』、『宇宙戦争』などがあり、エンターテインメント性の高い作品を数多く手がけています。
マイケル・クライトン(原作)
マイケル・クライトンは、『ジュラシック・パーク』とその続編『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク2』の原作者であり、SFスリラー小説の巨匠として知られています。彼の作品は、科学技術と倫理、そして人間の傲慢さといったテーマを深く掘り下げることが特徴です。『ジュラシック・パーク』では、遺伝子工学によって現代に蘇った恐竜たちが引き起こすパニックを描き出し、世界的なベストセラーとなりました。スピルバーグ監督は、クライトンの原作を基に映画化を進めましたが、映画版ではストーリーや展開にいくつかの変更が加えられています。クライトン自身は、映画化にあたっては監督の自由な解釈を尊重する姿勢を示していました。
映画『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』のキャスト
イアン・マルコム(ジェフ・ゴールドブラム)
イアン・マルコムは、前作『ジュラシック・パーク』にも登場した数学者(カオス理論学者)であり、本作では主人公を務めます。前作では軽薄な面も見られましたが、本作では恐竜の危険性をより深く認識し、慎重で真面目な性格へと変化しています。ジェフ・ゴールドブラムは、その独特な存在感と演技力でマルコム博士を魅力的に演じました。彼の代表作には、『インデペンデンス・デイ』、『ザ・フライ』などがあります。
サラ・ハーディング(ジュリアン・ムーア)
サラ・ハーディングは、本作のヒロインであり、古生物学者のマルコムの恋人です。化石調査に退屈していた彼女は、ハモンドからの恐竜生態調査の依頼を喜び、積極的にソルナ島へ向かいます。好奇心旺盛で大胆な行動が多く、それが一行を危険に晒すこともありますが、恐竜に対する純粋な探究心は観客の共感を呼びます。ジュリアン・ムーアは、『アリスのままで』でアカデミー主演女優賞を受賞するなど、実力派女優として知られています。
ジョン・ハモンド(リチャード・アッテンボロー)
ジョン・ハモンドは、ジュラシック・パークの創設者であり、前作に引き続き登場します。本作ではインジェン社の代表を退いていますが、甥のラドローの計画に気づき、恐竜を守るための対抗策をマルコムに依頼します。恐竜と人間との関係を深く憂慮し、恐竜への愛情を示す人物として描かれています。リチャード・アッテンボローは、名優であり監督としても数々の作品を手がけ、『ガンジー』でアカデミー監督賞を受賞しています。
ピーター・ラドロー(アーリス・ハワード)
ピーター・ラドローは、ハモンドの甥であり、現在はインジェン社の社長です。ジュラシック・パークの事件で経営難に陥った会社を立て直しましたが、そのために恐竜を利用しようと企む野心家として描かれています。金儲けのために恐竜を捕獲しようとする彼の行動が、物語の主要な対立軸となります。アーリス・ハワードは、悪役を演じることの多い俳優であり、その冷酷な表情がラドローのキャラクターを見事に表現しています。
ケリー・カーティス(ヴァネッサ・リー・チェスター)
ケリー・カーティスは、マルコムの娘で、父親の制止を振り切ってこっそりとソルナ島に同行します。体操が得意で、終盤ではその技能を活かしてラプトルを撃退する活躍を見せます。ヴァネッサ・リー・チェスターは、当時子役として本作に出演しました。
ニック・ヴァン・オーウェン
ドキュメンタリー映像作家としてハモンドに雇われ、マルコムの調査隊に加わります。実はハモンドから、恐竜の捕獲を妨害するよう密かに指示を受けていました。
エディ・カー
野外装備の専門家としてマルコムの調査隊に同行します。崖から落ちそうになったマルコムたちを救おうとして、ティラノサウルスに襲われ命を落とします。
映画『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』のあらすじと結末
絶滅したはずの恐竜たちが生きていた!ソルナ島の謎
前作から4年後、コスタリカ沖のソルナ島(サイトB)で、少女キャシーが小型恐竜コンプソグナトゥスの群れに襲われる事件が発生します。この事件を受け、ジュラシック・パークの創設者ハモンドは、マルコムにソルナ島の調査を依頼します。かつてジュラシック・パークに恐竜を供給するための飼育地だったサイトBでは、ハリケーンによって施設が壊滅した後、恐竜たちが野生化し、繁殖を続けていたのです。マルコムは一度は拒否しますが、恋人サラが先に島へ向かったことを知り、救助のために島へ行くことを決意します。娘のケリーも密かに同行します。
恐竜捕獲作戦始動!ハンターたちの野望とマルコムたちの抵抗
ソルナ島に到着したマルコムたちは、サラと合流しますが、その直後、ハモンドの甥でインジェン社の社長であるラドロー率いる恐竜捕獲チームが島に上陸します。ラドローは、会社再建のため恐竜を捕獲し、新たなジュラシック・パークを建設しようと企んでいました。ハンターたちは最新の装備と人海戦術で次々と恐竜を捕獲していきます。ハモンドから恐竜の捕獲を阻止するよう指示を受けていたニックは、捕らえられた恐竜たちを檻から解放し、マルコムたちはさらに、ティラノサウルスをおびき寄せるために利用されていた子供のティラノサウルスを救出します。
肉食恐竜の逆襲!生存をかけた壮絶な戦い
子供のティラノサウルスを救出したマルコムたちは、手当を試みますが、その鳴き声を聞きつけた親のティラノサウルスたちが現れ、一行を襲います。仲間を失いながらも逃げ延びたマルコムたちは、島の通信センターを目指しますが、その道中、ラプトルにも襲われ、ハンターたちも次々と犠牲になっていきます。なんとか通信センターに辿り着いたマルコムたちは救助を要請し、ヘリコプターで島を脱出します。しかしその頃、ラドローは捕獲したオスのティラノサウルスと子供を貨物船でサンディエゴへ輸送していました。
街は大混乱!サンディエゴでの決着と島の保護
サンディエゴに到着したラドローは、ティラノサウルスのお披露目会を計画しますが、輸送中に暴れ出したティラノサウルスが港に上陸し、街は大パニックに陥ります。マルコムとサラは、郊外に保護されていた子供のティラノサウルスを囮にして親をおびき寄せ、貨物船に誘導しようとします。ラドローは子供のティラノサウルスを取り戻そうと貨物室に入り込み、親子のティラノサウルスに捕食されてしまいます。マルコムは親のティラノサウルスに麻酔をかけ、親子は再びソルナ島へと送り返されます。事件後、ハモンドはインジェン社の記者会見で、ソルナ島とそこに生息する恐竜たちを人間の手から完全に隔離し、保護することを宣言し、物語は幕を閉じます。
まとめ
『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』は、前作に引き続き、自然の驚異と人間の傲慢さを描いたスリリングな冒険SF映画です。恐竜たちが生き残る無人島を舞台に、捕獲を企む人間たちと、それを阻止しようとする人々、そして何よりも恐竜たちの脅威が描かれます。サンディエゴの街で繰り広げられるティラノサウルスの暴走は、シリーズの中でも印象的なシーンの一つです。最終的に、恐竜たちは人間の干渉から守られ、自然の中で生き続ける道を選び、人間の愚かさが浮き彫りになる結末となっています。